FACTFULNESS(ファクトフルネス)の「新しい音楽」のグラフってなんかおかしくない? おかしくない!

2019.01.20 追記

翻訳者さんからコメントいただきました。

Spotifyのrecording date (= release date)はISRCという統一規格のデータを利用しており、リマスター盤であるRet It Be (Remasterd)は2009年、Led Zeppelin III (Remasterd)は2014年の発売ですが、オリジナル盤のリリース日が登録されています。

憶測になりますが、例にあげた「およげ!たいやきくん」はリマスター盤としてではなく、原盤とは別の作品としてISRCに登録されたためCDの発売日が"release_date"に登録されいたのかと。

Spotifyで何曲か検索した結果、同様に"release_date" がCDの発売日の作品もありましたが、多くはオリジナル盤のリリース日となっていました。

私が指摘した「アナログ盤が主流の時代の数字は実際の新譜数よりも少なく、逆に1900年以降は新譜 + 過去盤のディジタルVerまでカウントされる」というのは、間違っちゃいないけど誤差の範囲内で、掲載されているグラフは妥当なものと思われます。

ということは、本当に2000年代に爆発的に増えているんですね。海が赤すぎる。。。

各年でどれくらいの音源がリリースされているのかもう少し具体的な数値が知りたくなったので後日1860年から今年までの新譜の数を集計してみたいと思います。


今話題のFACTFULNESSを読んでます。面白い。

この本は世間に広まっている誤ったものの見方を、統計データをもとに正してくれる本です。

本書にはたくさんのグラフが掲載されているのですが、このグラフには目を疑いました。

横軸が書かれていないのでちゃんとした数字はわからないのですが、1990年までの新譜数が少なすぎない!?一方で2000年代の伸び率高すぎやしないかい!?

このデータに疑問を抱いたので出典について調べてみました。

Wikipedia

順番は前後しますが、まずはWikipediaから。

https://en.wikipedia.org/wiki/Sound_recording_and_reproduction#Phonautograph

そして翻訳者様のツイート。

出典に記載されているWikipediaの記事には、各年の新譜数にまつわる記載は見当たりません。おそらくWikipediaは、世界で最も古い「録音された音」がいつ作られたのかを調べ「データが存在する全ての範囲」の始点を決めるために参照されたものと推測します。

Spotify

もう一つの出典であるSpotfifyの方は、Web APIの説明ページのURLが記載されていました。

https://developer.spotify.com/web-api

APIを利用すると、アルバムのアーティスト名やジャンルといった様々なメタ情報を取得できます。

恐らくSpotifyに登録されている全ての楽曲からメタ情報を取得し、リリース日を見てその音源の発売年を決めているのでしょう。

これはおよげ!たいやきくんのアルバムデータを取得するAPIを叩いた結果なのですが、"release_date"に注目。

オリジナル盤は1975年に発売されたのにも関わらず、"release_date"は"2008-03-05"となっています。

どうやらSpotifyに登録されている楽曲及びメタ情報はオリジナル盤のものではなく、12cm CDとして2008年に発売されたものが使われているようです。

まぁデジタルミュージックを配信するサービスなのだから、アナログレコードではなくディジタルCDの音源を利用するのは当たり前か。

同じようにアナログ盤として世に出た音源は後にディジタル化されたものがSpotifyに登録されるんでしょうね。

だからアナログ盤が主流の時代の数字は実際の新譜数よりも少なく、逆に1900年以降は新譜 + 過去盤のディジタルVerまでカウントされるからこのようなグラフになったようです。

最後に

あとは音楽のサブスクリプションサービスでありがちな、誰が作ったかわからない有名楽曲のInst Verもかさまし要因の一つなのかなと思ってます。

音楽を作って発表するハードルが下がっており、新譜数が年々増えているというのは体感的にわかるのですが、もっと実態に即した数字が知りたかったなぁ。

とりあえず「新しい音楽」のグラフの値が1990年ごろを境にやたら差が生じている理由について考えてみました。

他に思い当たる方はツイッターにて教えていただけると嬉しいです。